人口 | 376,000人 |
面積 | 261平方km |
設置基数 | 24基(内、当社製19基) |
担当部署 | 豊橋市役所上下水道局 |
事例紹介CASE
低コストを重視しながら、もしもに備えて応急給水槽を計画的に設置し、災害拠点の機能を向上。
愛知県の南東部、静岡県との境に位置する豊橋市。南は太平洋、西は三河湾に接し、緩やかで平坦な地形に恵まれ、温暖な気候が特色だ。かねてより交通の要衝として栄え、吉田宿・二川宿を擁する豊橋市は、商業都市として発展。また、三河港を中心とした臨海地域には、自動車、造船、繊維業など、様々な産業が名を連ねる工業地域を形成している。
豊橋市防災会議が平成26年に公表した想定によると、過去地震最大モデルで震度6強、理論上最大モデルで震度7の地震動が市内の大部分を襲うことが予測されている。西と南を海に面する豊橋市は、豊かな自然を享受すると共に、大災害の脅威にもさらされているのだ。
その豊橋市には、これまでに24基の応急給水槽の設置事例がある。その内の19基が当社の潜函型応急給水槽として運用されている。
設置場所はそれぞれ広域避難場所に指定されている敷地内で、40・60・100㎥の各貯水量を有する応急給水槽(飲料水兼用耐震性貯水槽・以下飲料水槽とよぶ)である。
当社飲料水槽の設置に至るまでの経緯の概要を、豊橋市役所上下水道局担当者にうかがった。
豊橋市では緊急時の飲料水確保のために、24箇所の応急給水拠点が整備されており、非常時には各給水拠点において市民への給水を行うこととしている。
市内の各給水拠点と緊急避難場所を結ぶ応急給水網を最大限均等に配置すべく、飲料水槽を配備している。
南海トラフをはじめとする、巨大地震を繰り返す震源域と隣接する豊橋市。災害への備えは緊急の課題でありながら、その財源は潤沢ではなかった。そのため、コストを最重視してカナサシテクノサービスの製品を選定したという。
「市の緊縮財政もあり、コスト比較を重要視しつつ水槽内の水の流動特性のすぐれたものを探していた。飲料水槽には、オープン掘削工法と潜函掘削工法の製品が供給されているが、現地の地下水位が高い場合は潜函工法を採用する方がコストを抑えられることを認識している。」(担当者)
また、施工ヤードにそれほど広さを必要としないことも、カナサシテクノサービス製品の大きなメリットだという。
「近年は現地で広い施工場所の確保が難しいことや、搬入路が狭い場所が多くなってきていることから、潜函型である縦円筒型を採用することが多い。」(同担当者)
飲料水兼用耐震性貯水槽は、災害時以外に発生した火災にも効果を発揮する。担当者も、「消防用水と非常時の飲料水槽の両面で機能する点については行政当局としては大変助かる」と話す。
「流れている水道水を一旦タンクにためる工法であり、水質低下の心配があったが、各貯水槽より採水・水質検査を定期的に行っており、これまで問題になったことは無い。」と担当者はいう。循環効率の高さを実感している。
豊橋市では、飲料水槽の設置後、近隣住民も参加する防災訓練を定期的に行い、万一の災害時に飲料水槽が活用されるよう周知を図っている。
市内設置場所において、近隣住民を集め災害時を想定した手動ポンプで飲料水をくみ上げて試飲する訓練を行ったところ、市民より安心だとの声があがったという。
平成26年度の完工時には、清掃作業中に付近を通りかかった住民の会話を聞くことができた。園児を引率して散歩中の保育士は、このように子どもに語りかけた。
「きれいにしてくれてるね。いざという時は、飲み水になるんだよ。」
安心感は近隣の子どもたちにも広まっている。
カナサシテクノサービス製品では土止め工が不要になるが、そのことに伴う効果は数百万円に上る。
応急給水槽は今後も設置を行う計画であり、用地や予算の取得に取り組んでいるという。
この事例に関する製品
飲料水兼用耐震性貯水槽 K100-7.5-ASL型
K60-7.5-ASL型
K40-7.5-ASL型 (現在開発中)
飲料水兼用耐震性貯水槽として初めて液状化による浮上抑止機能を備え、
液状化の懸念のある地域でも安心な製品です。
(一財)日本消防設備安全センター認定品 100t:飲-13001号 60t:飲-14002号